「それで、ルディーン。鏡はすぐにできそうなの?」
「ん〜解んない」
スティナちゃんが欲しいって言ったし、レーア姉ちゃんが僕なら作れるよって言ってくれたもんだから鏡は作る事になったんだよ?
でもさ、作ろうって思ったのはさっきなんだから、まだどうやったらできるのかなんてはっきり解んないんだもん。
すぐにどころか、今日中に作れるのかも解んないんだよね。
「解んないって、そんなんで大丈夫なの?」
そんな僕の返事を聞いて、呆れた顔するヒルダ姉ちゃん。
それにね、そんなお姉ちゃんを見て、スティナちゃんまで不安そうな顔になっちゃったから、僕は少しだけ安心させてあげる事にしたんだ。
「大丈夫だよ。どうやって作ったらいいのかなぁってのは、なんとなく解ってるから」
「そうなの?」
「うん。でもね、鏡ってほんとだったら職人さんがすっごく長い時間かけて磨いて作るんだもん。そんなの、すぐにできる? って言われても解んないよ」
「そうい言えばそうねぇ」
ヒルダ姉ちゃんもお母さんと一緒で、鏡をド応やって造るかは知ってたみたい。
だから僕がこうお話したら、すぐに解ってくれたんだ。
でもね、それに納得しないのがスティナちゃん。
「ねぇ、ルディーンにいちゃ。いっぱいじかん、かかうの?」
僕が作るって言ったもんっだからきっとすぐにできるんだと思ってたのに、そうじゃないって解ってしょんぼりしちゃったんだよね。
それを見た僕は、慌ててそんな事ないよって教えたあげたんだ。
「そんな事ないよ! 鏡屋さんがやってるのとおんなじ事やったらすっごく時間がかかっちゃうけど、僕が思ってる通りなら多分そんなに時間、かかんないはずだもん」
「ほんと?」
「うん! 今日中は無理かもしんないけど、いっぱいはかかんないよ」
「やったぁ!」
スティナちゃんはそんなにかかんないよって聞いて、両手を上げてぴょんぴょん跳ねながら大喜び。
それを見て僕は、早く作ってあげないとねって、もう一回ふんすと気合を入れたんだ。
「あら、これが鏡になるの? 私にはただの板に見えるんもだけど」
とりあえず、鏡の元になるものはいるよね?
って事で、僕はいっつも持ってる鋼の玉を使って、ちっちゃな丸くて薄い板を作ったんだ。
でもね、クリエイト魔法で作ったもんだから表面はつるつるだけど、お顔の前に持ってきても何にも映んないんだよね。
だからそれを見たヒルダ姉ちゃんは、これがほんとに鏡になるの? って。
「そりゃそうだよ。だってまだ全然磨いてないんだもん」
「なるほど。これを磨くと鏡になるのね」
今はこんなんだけど、磨けばちゃんと鏡になるんだよって教えてあげたら、ヒルダ姉ちゃんはなるほどねぇって納得したみたい。
でもね、一つだけふしぎな事があるんだって。
「あっ、でもこれを磨くだけで鏡ができるんでしょ? ならなぜあんなに手に入りにくいのよ」
「僕はクリエイト魔法を使ったからこんな風にまっすぐでつるつるな板が作れるけど、普通に鉄をたたいて作ったら上手な人じゃないとデコボコになっちゃって、鏡にならないからなんじゃないかなぁ?」
鏡ってさ、ちゃんと表面がつるつるの板を使わないとできないんだよね。
でも、机の上に置いたり手で持ったりして使おうと思ったら、薄い板を作んないとダメでしょ?
熱い板だったら何度かたたいてるうちにできるかもしれないけど、薄い板だとそれが難しいから作れる人が少ないんじゃないかなぁって僕、思うんだ。
「それにね、鉄をとんとんたたいて作った板は、どんなに上手に作っても後がついちゃうんだよね。だからまずはそれを荒い目の砥石で全部削り取っちゃってから細かい目の砥石で磨くことになるんだもん。そりゃ大変だから、そんなにいっぱい作れないよ」
「なるほど。その点、ルディーンは魔法で作れるから、普通に作るよりも早くできるって訳ね。でも、なら何で鏡職人は魔法使いに頼まないの?」
「それは多分、できる人があんまりいないからだと思うよ」
ヒルダ姉ちゃんの言う通り僕がクリエイト魔法で作った板はつるつるだから、いきなり細かい目の砥石で磨くことができるんだよね。
でもさ、だったらみんな魔法使いに頼んで、鉄の板を作ってもらえばいいじゃんって思うよね?
だけどね、前にロルフさんが、クリエイト魔法で金属をうまく加工できる人はあんまりいないって言ってたでしょ?
僕、この表面をつるつるにするってのは結構難しいと思うんだよね。
だから鏡職人さんは、魔法使いに頼まないんじゃないかな?
「ピカピカになるまでどんだけかかるか解んないから、とりあえず磨いてみるね」
かなりちっちゃいけどとりあえずは鏡にする板ができたって事で、僕はそれを磨いてみる事にしたんだ。
使う砥石は、狩りに使う剣の手入れに使ってるやつの中から、ちっちゃくて目の細かい奴を選んだんだよね。
そしてそれをちょっとの間水につけて、泡が出てこなくなったら鉄の板にお水をかけながら丸を書くみたいに磨いてったんだ。
「あら、意外と簡単に磨けるみたいじゃない。もうきれいになってきたよわ」
「ほんとだ! ピカピカっ!」
ヒルダ姉ちゃんやスティナちゃんの言う通り、磨き始めるとすぐに表面がつるつるになってきたんだよね。
でも、いざ磨いてみるとよく解るんだけど、魔法で作った板でも完全に平らにできたわけじゃなかったみたいなんだ。
だからね、ちゃんと砥石が当たってるとこはピカピカになるんだけど、何か所かははじめと変わんないままのとこがあるんだよね。
それに磨けてるとこも一応お顔が映るくらいにはピカピカしてるんだけど、なんとなくぼや〜ってしてるんだよね。
「う〜ん。思ったより時間がかかっちゃうかも? それにもっと細かい目の砥石じゃないと、お店で見た鏡みたいにならないのかなぁ?」
「そう? 私はこれでも十分に磨けてると思うし、時間をかけて磨いて行けばちゃんと綺麗になるんじゃないかな。まだ磨き始めたばかりなんだし」
ヒルダ姉ちゃんの言う通り、この鏡はまだ磨き始めたばっかりなんだから、もしかしたらこのまんまずっとやればピカピカになるかもしれない。
でもさ、それだとすっごく時間がかかっちゃうんじゃないかな?
「このまんまやっても大丈夫かもしんないけど、やっぱりこれだとダメだよ。だって、いつ出来上がるか解んないもん」
「そう言われるとそうねぇ」
今日はやんなくてもいいけど、パンケーキを焼くお仕事があるでしょ?
それに他にも作んなきゃって思ってる魔道具もあるから、ずっとこんな事やってる訳にはいかないんだよね。
「僕、なんかいい方法がないか考えるから、ヒルダ姉ちゃん。その間、これ磨いてて」
「早く鏡が作れる方法か。そんなのが本当にあるのなら、うちにも大きめの鏡が作ってもらえそうだものね。いいわ。変わってあげるから、しっかり考えるのよ」
「うん! 僕、頑張るよ」
僕は砥石をヒルダ姉ちゃんに渡すと、なんかいい方法はないかなぁって一生懸命考える事にしたんだ。
実を言うと、ルディーン君が今やってる方法でも鋼ではなく銅板で作れば結構きれいにできちゃったりします。
ただその方法だと銅鏡くらいが限界だし、何より強度がねぇ。
だからどうしても鋼で作りたいという事でそれを解決すべく、次回は例のごとくあの番組が登場しますw